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低温やけどにご注意を。

低温やけどによる熱傷について

朝晩、肌寒さを感じる季節になってきました。
これから冬にかけて気を付けたいのが、暖をとる際に起こりやすい「低温やけど」です。特に糖尿病患者さんにとって注意が必要となる、この「低温やけど」について、詳しく解説します。

熱傷の分類と治療過程

●分類

やけど(火傷)は高温の液体や固体に接触したときに生じる皮膚の損傷で、医学的専門用語では「熱傷(ねっしょう)」といいます。熱傷は損傷を受けた深さの程度によって、Ⅰ度からⅢ度に分類されます。

Ⅰ度熱傷は皮膚の浅い損傷で、紅斑(こうはん=赤み)と痛みを伴います。日焼けによる発赤(ほっせき)も、Ⅰ度熱傷の状態です。Ⅱ度熱傷は真皮浅層まで損傷している「浅達性Ⅱ度熱傷」と、損傷が真皮深層まで達する「深達性Ⅱ度熱傷」に分けられ、水疱(すいほう)を形成し、痛みを伴います。Ⅲ度熱傷は、損傷は皮膚を超えて皮下組織の脂肪層あるいはそれ以上の深さまで達し、皮膚は黒く壊死(えし)した状態となります。深い傷ほど神経も損傷されるため、痛みを感じません。

●治療過程

熱傷の原因となる温度と時間の関係を表したグラフ

湿潤療法を用いた治療を適切に行えば、Ⅰ度熱傷は数日で、浅達性Ⅱ度熱傷は1週間から2週間で治癒します。治療には軟こうや創傷被覆材(傷を保護するもの)を用います。
深達性Ⅱ度熱傷では、皮膚組織や皮膚付属である毛のう、汗腺の損傷によって再生機能がはたらかないため、治癒まで数ヶ月かかります。

また、傷が治るためには血流によって酸素や栄養が充分にいきわたることが必要なため、もともと血流が悪い膝から下の足は、傷の治りが遅くなります。

治療の際に適切な湿潤療法を行わないと、治癒後も傷が盛り上がる肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこう)あるいはケロイドといった状態となります。
そのため、皮膚移植などの手術が必要となることがあります。

低温熱傷とは

●低温熱傷の温度と時間の関連性

熱傷の程度は「温度×接触時間」によって変わります。
すなわち、高い温度であれば短時間の接触で、低い温度であれば長時間接触することによって皮膚が損傷され、熱傷が生じます。熱いお湯や油などは少し触れただけでも熱傷となるのに対し、44℃くらいの温度では、同じ部位に6時間触れ続けると熱傷となります。

このように、それほど高くない温度に長時間触れることによって生じる熱傷を「低温熱傷(ていおんやけど)」といいます。低温といっても、人間の体温以下の温度で熱傷になることはありません。この場合の「低温」とは「高温」に対する用語として使用されており、「やや熱い」と感じる程度です。
簡単にいうと、ステーキのレア状態が、低温やけどの本質です。低温で徐々に内部まで加熱されて、表面の皮膚だけでなく、皮下の脂肪組織や血管など、蛋白質でできた物を変性させるのが、低温やけどです。
血管が破壊されているのでやけどした当日はたいした傷に見えなくても、血流がないので時間がたつと徐々に損傷が深くなっていきます。

●低温熱傷の原因について

低温熱傷の原因として多いのが、湯たんぽとファンヒーターです。
どちらも寝ている間に受傷することがほとんどで、部位としては膝下から足にかけて生じることが多いのが特徴です。湯たんぽやファンヒーターのそばで長時間、同じ体勢で寝てしまうことによって同じ部位に熱が加わり、ゆっくりと表面から皮膚の下の組織まで損傷されてしまいます。

前述したように、弱火で長時間調理をすると食材の内部まで火が通るのと同じことです。これらの暖房器具以外にも、使い捨てカイロを直接肌に張って長時間使ったり、高齢者の方が電気カーペットの上で意識を失って倒れたりすることによって受傷することもあります。低温熱傷は、範囲が狭く一見軽症のように見えますが、高温の熱傷に比べると深い部位まで損傷を受けており、治癒に時間がかかります。

実際の低温やけどの治療

42歳の男性です。
油が右手背側にかかり水疱を形成しました。
やけどの程度をみるため水泡を開放しました(やけど直後)。
真皮の浅いところまでのやけど(Ⅱa)と診断、湿潤療法を開始しました。
1週後にほぼ治癒しています(1週後)。
治療期間中、処置を含め痛みはまったくありません。

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